みやび☆りゅうの「わたくしスタイル」

エンタメ系Webライター兼、新米パパの雅龍(みやび☆りゅう)がお届けする、様々なこと。

【怪談朗読】【怖い話】【ボイスピ朗読】「枕が変わると」 薄暗闇の事件簿#10

どうも、孤高のスタイリッシュB型ブロガーみやび☆りゅうです。

 

今回の話は完全なオリジナルではなく、視聴者さんからいただいたリクエストに応じて物語のポイントは変えずに私なりの視点で書いたお話です。

 

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「枕が変わると」

彼女は僕の腕をつかむと愛おしそうに頬を寄せた。
「やっぱり、この腕じゃないと寝られないの」
彼女はそう言って、僕の部屋から出て行った。

3年付き合った彼女。
付き合い始めて3か月で同棲し、2年と8か月一緒に暮らしていた。
彼女と寝るときは、いつも腕枕をせがまれた。
寝返りをされたまま朝になると腕がしびれてしまっていたこともあったが
逆にその感覚を幸せにも感じていた。

ところが先月、彼女から急に別れを切り出された。
他に男が出来たと、彼女は言う。
僕は突然のことでよく理解が出来なかったが、翌日、僕が仕事に行っている間に
彼女の荷物はすべて無くなっていた。

そして今日、彼女が唐突に僕の家にやってきた。
忘れ物があると彼女は言った。
僕も、あまり話も出来ず別れてしまっていたので、自宅でお茶を飲みながら話をした。
彼女が買ってきたお菓子を食べながら、ぽつぽつと最近の状況なんかを話していると
急に眠気に襲われた。

そして今、彼女は僕の腕を持っている。
正確には、右手にノコギリを持ち、左手に切り落とされたばかりの、まだ血がしたたっている僕の腕を持っていた。
彼女は僕の腕をすっと持ち上げ、「枕が変わると寝られなくて」と言い、僕の目の前にノコギリを落とした。
「やっぱり、この腕じゃないと寝られないの」
彼女はそう言って、僕の部屋から出て行った。

僕は激痛と朦朧とする意識の中で、彼女の後姿を眺めていた。

 

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