どうも、孤高のスタイリッシュB型ブロガーみやび☆りゅうです。
今回も怖い話シリーズです。
良かったら読んでみてください。
読むの面倒な方は、朗読もあるんで下記からどうぞ↓
「魔性の音色」
あなたも知っているだろう。世の中には高額で取引される楽器があることを。
その事件は1本のバイオリンから始まった。
中世ヨーロッパの職人が仕上げたそのバイオリンは、卓越した音色から「魔女」と呼ばれていた。
妖艶な音から繊細な音まで、誰もがその音に聴き入ってしまう魅力にあふれていた。
ただ、そのバイオリンがなぜこうも良い音がするのか、誰も分からなかった。
現代になって、同じ音が出せる楽器を作ろうと、多くの研究者が分析をしたが
違いが一向に分からない。
いや、むしろ現代の楽器の方が良い音がするはずだという結論しか出せなかった。
しかし、誰もが一つだけある良い音が出る可能性については、認めたくなかった。
昔からそのバイオリンには、良い音と同時に悪い噂がついて回っていたのだ。
最初にそのバイオリンを所有した者は、演奏中に非業の死を遂げた。
王侯貴族だが音楽にのめり込み、日に8時間は演奏の練習をしていたが、ある日教会の聖堂で演奏をしている際に突然死したというのだ。
その後何百年にわたり、何人もの人の手を渡ってきたが、その中にも数人演奏中に亡くなった人がいた。
そして、また一人、目の前で犠牲者が出た。
有名なバイオリニストで、将来を期待されていた若い女性だった。
その女性が演奏中に倒れた場に居合わせたのだが、その黒かった髪は一瞬で真っ白になり、肌は乾き、老婆のようなしわが刻まれていた。
そして、私は見てしまった。
女性がバイオリンを構えていた首筋に刻まれた、2つの穴のような傷口から血が出ていたことを。
彼女の手からバイオリンが滑り落ちる時に、血をすするような音が聞こえ、2本の鋭い牙がバイオリンに飛び出していたことを……。
【怪談朗読】【怖い話】【ボイスピ朗読】「枕が変わると」 薄暗闇の事件簿#10