何気なくニュースを見る。
何気なく情報を受け取って、今の世の中を知った気になる。
これほどまでに情報に溢れ、自分が知りたいという情報へはネットを使えばアクセスできる時代。
便利な世の中。
そんな風に思っていたが、実際は違ったようだ。
今朝目にした2ちゃんのまとめサイトで見たニュース。
「韓国加湿器殺菌剤事件」
5年前の隣国の事件について、私は全く知らなかった。
おそらく、私と同じようにご存じない方は多いであろう。
韓国において、加湿器に使用する殺菌剤が原因で妊産婦と子どもが700人以上亡くなったという事件だ。
安全だと主張したメーカーの対応も酷いもので、安全性も検証していなかったという事件だ。
しかし、またなぜ5年前に起こっていた事件を知らずに、今になって知ることになったのか……。
私も今年息子が生まれ父親となった。
当然それ以前には妊婦である妻と過ごしていたので加湿器も冬の乾燥する時期には多く使用していた。
その頃は特に加湿器に殺菌剤を使用はしなかったが、このニュースを知っていたらそう言った面でも敏感になっていたかもしれない。
日本政府は警告を出していた
この件、すでに政府からの警告文が出ていたようだ。
こういった情報があるにも関わらず、知らなかったというのは悔しい。
この事件は加湿器の殺菌に使った薬剤が、加湿とともに部屋中に噴霧され、それを吸入した人の肺が損傷したというものだ。
なぜ妊産婦や子どもなのかと言う点に関しては、新生児や妊婦に対して湿度のケアをするケースが多かったからと言う理由らしい。
肺の損傷は治療が難しい
肺の疾患というのは治療が難しい。
基本的に病状の進行を遅くすることはできるが、完全に元通りにはできない。
今回のケースでも炎症を起こした肺胞に対して高濃度のステロイド剤を注入して治療する方法はあるが、損傷した肺は元には戻らず、根本的な治療としては肺移植しかない状況だ。
一度罹ってしまったら、非可逆なのだ。
この事件、このような状況をなぜ今まで知らなかったのか。
普段目にする情報というのが、いかに偏ったものであるか改めて気がついた。
今回のケースでは韓国企業のトップが被害者に平手打ちされたというセンセーショナルなタイトルがあったために、2ちゃんねるのまとめとなって、私の目にすることとなった。
そう考えるとニュースにしても、WEBの情報にしても、そのセンセーショナルなタイトルで人の目を惹くことがその情報の存在価値になってしまい、それが拡散する機動力となっている。
本質的に人の生活などに有用な情報が広まるというわけではないのだ。
5年前、まだ被害者が5名程度の頃のニュースについては報道はされていたものの、そこまで拡散せずに終わっていた。
その状態を自らが認識した上で世間に溢れる情報を解読していかないと、各々が情報を読み違えてしまう状況となる。
世間に対して、何が良くて、何が悪いかという2択になってしまう人に多い傾向としては、この情報を読むという力が世間の偏向に対して弱いのではないかと思う。
良い、悪いという判断基準はそれぞれ個人の物で、世間一般に流されるべき判断基準ではない。
その判断基準を自分のものとするためには自分が意図して情報から論理を組み立てていかなければ、誰かの価値観にすがった浅はかなものにしかならないのだ。
だが、その作業を行うのは、現代のメディアなど情報が溢れた社会では非常に難しい。
今回の事件も厚生労働省の発表を常にチェックしていれば気づいたかも知れないが、サイトを見ても非常に分かりづらい作りになっていて、情報にアクセスしづらい。
そんな大変な作業を毎日してまで、その情報が自分に役立つかどうかわからないのにアクセスする必要があるのかと思えてしまう。
ニュースは我々にどう届いてきているのかを考えよう
今回のニュースを考えると、報道のあり方の重要性が改めて感じられる。
メディアがただ視聴率やPVだけを得るためでなく、公平公正で本質的な生活の向上に寄与するような働きを行える社会にどうしたら向かえるのだろう。
単純に金儲けという経済という指標に踊らされて、人間本来の幸せな生活を送ることが出来なくならないように。
そのために私たちができることとはなんだろう。
今ここで考えてみても良い時期なのではないだろうか。