みやび☆りゅうの「わたくしスタイル」

エンタメ系Webライター兼、新米パパの雅龍(みやび☆りゅう)がお届けする、様々なこと。

シン・ゴジラを楽しむために知っておきたい「いくつか」のこと。(ほとんどネタバレなし)

どうも、孤高のB型ブロガーみやび☆りゅうです。

ようやく観てきました「シン・ゴジラ」。前評判などうっすらは知りつつもネタバレサイトなどは見ないようにして、素の感覚で観ましたが「なるほど」絶賛が頷ける作品でした。

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映画『シン・ゴジラ』公式サイト

 

リアリティがフィクションの中にあってもしっかり際立っていて、現実 対 虚構というキャッチコピーも良い表現ではないかと思います。

予算の少ない近年の日本映画界において、この作品は稀に見る良作ではないかと思える出来でしたが、その作品をさらに楽しむための「いくつか」の情報をまとめましたのでもう観た方も、これから観る方も参考にしていただければと思います。

 個性的な構図での映像表現「1/6」

シン・ゴジラを観て、私がもっとも関心を持ったのはここです。

ゴジラを映す際の構図。

観ながら色々と考えたのですが「6分の1の構図」と私は名付けました。

ゴジラを中心に据えたアングルはもちろん多いのですが、ゴジラが上陸してから度々出てくる構図。

ほぼ前半だけに登場するその構図は、動いているゴジラをスクリーンの上辺1/6くらいの場所において、その手前では日本の普通の風景が映されているシーンが、とても印象的でした。面積で言えば36分の1でしょうか。大きなスクリーンの中でゴジラは小さく写っているだけ。

あの映像の意図は、明らかです。

日常の中の異物を表現しているとしか思えません。

人間の目の動きとして映像はまず中心を観て、その映像の中で大半を占める部分に意識が行きます。今回の場合、ゴジラのいない見慣れた日常の風景です。

そして次に、スクリーンの中で動いている対象に目が行きます。それがゴジラです。

鎌倉に上陸する時のシーンなど、手前には平穏な鎌倉の住宅地の絵がありながら画面の上の方、動きとしては水平方向に画面の1/6くらいの部分に小さく写るだけです。

人の意識の中に占める日常とゴジラという非日常的脅威の表現として、とても興味深い表現方法で、それは成功していたと私は感じます。

特に上陸後に横浜の洋光台辺りのシーンではそこまで至急性を感じずに避難する人々の上、画面の上部真ん中1/36くらいの面積にゴジラはその長い尻尾を揺らめかせているだけ。一般人の意識していたゴジラに対する恐怖の表現として、非常に理解しやすい映像でした。

 

そしてこれはゴジラだけではなく、登場する矢口と赤坂、矢口とカヨコなどのシーンでも個人と団体、個人と国というレベルの話題になった時にズームアウトしたりカットチェンジしたりしてこの構図になっていました。

こちらはゴジラとは逆に意識を広げて考えるという思考へ訴えかける表現と感じました。

派手ではない映像表現の中にも、しっかりと意識を持って作り込んでいる点など今回の「シン・ゴジラ」を観て評価に値する点だと感じました。

 

カヨコ・アン・パタースンの衣装

米国大統領特使。日本人の祖母をもち、英語と日本語のバイリンガル。父親は上院議員というハイスペックで、米国大統領になるという野望も持つ女性、カヨコ・アン・パタースン。

石原さとみが日本語と英語を交えながら演じるその役柄において、衣装がとても印象的でした。その場に合わせて話せる日本語を敢えて話さず、英語だけで交渉するような交渉力を持った政治家。高いヒールの靴、身体にぴったりとフィットしたスカートスーツ。

彼女の存在は完璧で危ういところのない女性。

そのスタイルがほぼ彼女のためにオーダーメイドされたであろうそのスーツに現れていました。あそこまでフィットしたスーツはなかなかないでしょう。

またあの高いヒールを履きながら凛とした姿勢を維持する石原さとみさんには感心しました。その辺の女性なら高いヒールに負けて不恰好になりそうなこともありそうなところで、姿勢を維持するのは体幹がしっかり鍛えれられていないと出来ないはずです。

衣装と鍛えられた体幹がカヨコ・アン・パタースンという役の一部を作っていたのですね。

 

ヤシオリ作戦の「ヤシオリ」って?

物語の後半で矢口が作戦名が長いことに対して「ヤシオリ作戦ということにしましょう」という「ヤシオリ」の意味が気になるはずです。

これは「日本書紀」に出てくる八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を退治する際に素戔嗚尊(スサノオノミコト)がヤマタノオロチに飲ませて首を切ったとされる酒、八塩折之酒(ヤシオリノサケ)に由来しているという説が有力です。

「日本書紀」「飲ませて倒す」とうい部分が今回の映画にフィットしているなと感じました。

あまり言うとネタバレになりそうなのでこのくらいにしておきますが、「サンダーバード」が好きな人にもこの国際救助隊的な作戦は面白いと思います。

 

見逃せない最後の映像

映画の最後で流れる映像があるのですが、初見で映画を見ると理解するまでに時間が掛かってしまって終わってから脳内で反芻して、「なんとなくあれだよな」と思ったのですが、もし最初からちゃんと見た方が良いと分かっていたらもう少し理解しやすかったのかも知れません。

BGMもないシーンで描かれるそれは、おそらくあれ。ネタバレになるのでこれも説明しづらいですが見ていて辛いものではあると思います。

そうであれば国家のあり方、辛い歴史のテーマがより進化しているのかが理解しやすいです。

 

知っている人なら関連性が分かる作品

私が「シン・ゴジラ」を観て似ているなと感じたのは、もちろん庵野監督の「エヴァンゲリオン」ですが、それ以上に「進撃の巨人」との共通点も感じました。

平穏に暮らしていた世界に対して訪れる危機、警鐘を鳴らす人。

ただし「進撃の巨人」のようなグロテスクなシーンはありません。「シン・ゴジラ」では「死」というものは直接的に描かれていないのです。ですのでお子さんにも安心して観ていただける作品ではあると思いますが、この脚本の内容を理解できるのは完全に大人以外ないでしょう。それはさながら3・11におけるテレビ報道を想起させました。

 

そしてもう一つ類似点を感じたのは「WXIII 機動警察パトレイバー」劇場版パトレイバーでも人気の高いウェイステッド13(廃棄物13号)です。

人間の作り出した危機が人間そのものの存在に問いかける。

多くの作品でテーマとしながら、これらの作品ではうまく描かれていると思います。

 

まとめ

もっと書きたいことは多いのですが、ネタバレになる部分が多くてこれ以上は書きづらい感じです。

私が感じた「シン・ゴジラ」の感想としては、危機映画としての描き方の視点がはっきりしていて、このテーマでは非常によくできていると思います。

脚本の前半などご都合主義的だなと思うセリフは多かったのですが、テンポ感を考えると変に説明するのも冗長になりそうですし、敢えてそのまま押し切ったのかなという部分もあります。

ただ、観終わって思ったことは「そんなの関係ねぇ」って気持ちです。

今の予算の少ない日本映画でここまではっきりと目的意識を持って作って、その上で映像的にもストーリー的にも破綻なく魅せてくれる作品があったという感慨が大きいです。

原作へのリスペクトも随所に見られ、その上で新しいゴジラ、今の時代に合わせたゴジラで、その根本にあるゴジラという映画のテーマに迫ったところはおそらくオリジナルゴジラ以上かも知れません。

まさに「シン・ゴジラ」は「新」ゴジラであり、「真」ゴジラであると言えるでしょう。

とにかく多くの日本人に映画館で観て欲しい、近年の日本映画の最高の成功例であると思います。

お時間あれば、ぜひ劇場へ足を運ぶことをお勧めいたします!

 

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パンフレットも買っちゃいました。

¥850(税込)でしたよ。

 

 

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