みやび☆りゅうの「わたくしスタイル」

エンタメ系Webライター兼、新米パパの雅龍(みやび☆りゅう)がお届けする、様々なこと。

マジックワードという種も仕掛けもない思考停止術

日本語にはいつも困らされている。
 
職業柄というのもあるのだろうが、コミュニケーションの上でも正しさを重視し始めるとキリがなくなってくる。
先日も「既存」という言葉を”きそん”と読んだところ、「あぁ、きぞんのね」とやんわりと訂正された。
本来なら「既に存在する」の意味での「既存」であるからには、”そん”と読むのが正しいと思うし事実その通りなのだが、最近では”きそん”という音の響きには「毀損」のイメージが強くなってしまったのか理解されないことが多い。
私の読みをやんわりと訂正した心温かいお方を、出来ることなら名誉毀損で訴えたいくらいだ。
 
ちなみに業界によって読みが違う言葉などもあって、一般では「競売」を”きょうばい”と読むが、私が大学で法律用語を学んだ時に「競売」を”けいばい”と読むのだと知って大変驚いたことがある。
また「七月」を”しちがつ”と読む方が多いが、流通や金融など期日を口頭でやり取りする業界の方は「一月」「四月」との聞き間違いを減らすために”なながつ”と訓読みされることが多いだろう。
そういった自分の生きる世界と違う場所で使われる言葉に違和感を感じるのは致し方のない事なのかも知れない。
言ってみれば方言と同種のものである。
それぞれ意味があって言葉が進化し、生き残ってきたのだ。
 

 

また日本語の難しさを感じるのは、本来良い言葉であったものが使われ過ぎたことによって悪い意味になってしまうということだ。
誰もが使う一人称でも「僕」、「君」などは本来「しもべ」と「君主」の意味で相手を敬って使っていた言葉のはずだが、最近では「キミねぇ」などというと相手を見下したようなイメージになるし、喋り方にもよるが「ボクはねー」なんて言うと「子供かっ!」と突っ込みを入れられるだろう。その上で「貴様ーっ!」と怒ってしまったら本末転倒だ。「貴様」と尊いお方だと敬う言葉を使って罵っているのだから。
 
遠い目をして考えると、言葉は生き物であり、進化と変化そして淘汰していく存在なのだろう。
 
 
そんな難しい言葉という存在であるが、最近たまに目にするのが「マジックワード」という言葉だ。
私もパパとして世の中にデビューしたため否応なくというか、嬉々として育児に関わるようになったので目にするようになったのだが
”忙しいパパが大切にしたい、「パパから子どもへのマジックワード」” だとか ”マジックワードで楽々子育て”のように、あたかもマジックワードを使えば我が子が情緒豊かに賢く健やかに、かつ親の手を煩わせずに育つようなイメージだ。
 
この「マジックワード」という言葉は、本来子育てだけではなくコミュニケーション全般で使われる言葉である。
本来の「マジックワード」という言葉の意味がどちらかは調べがつかなかったのだが、大きく二極化した意味を持つ。
”相手をコントロールするために便利に効果的に使える言葉”という意味と、”いろいろな場面でこれを言っておけばなんとなく格好がつく言葉”という意味である。
私が考えるマジックワードの本来の意味は後者なのではないかと思う。
後者の意味に当たる「マジックワード」の例としては
「コミュニケーション能力不足」「地球にやさしい」「相手の身になって考える」「全員一丸となって」なんて言葉が挙げられるが、よく聞くよく目にする言葉なのに実際に行動する際の具体性のない、取りようによって意味合いが大きく変わってしまう言葉たちである。
その取りようによって意味が変わるという点が逆に使い勝手よく、広く使われてしまったので一般化してしまったのだろう。使われれば使われるほど具体性が失われ、言葉のイメージが拡散し意味不明さが増していく。
罪な話だ。
言葉というのは思考のためのツールでもある。
この意味での「マジックワード」の使用は論理性を失い、イメージだけが一人歩きする場合が多い。
なるべく使用は控えた方が良いのではないかと思う。
 
逆に良い意味での「マジックワード」についてちょっとググってみたところ
「ありがとう」「ちょっと痩せた?」「すごいね!」などを使えば年中モテ期だそうだ。
また「今日も会えてうれしいよ」「いいイタズラだね」「ママにはナイショだよ」を使えば子供は自己肯定感と好奇心にあふれ、日常が非日常に変わる魔法にかけられるそうだ。高知でトマトを作っているブロガーの方もおすすめしているのだから間違いない。
 
なんだかこう言った良い意味の方の「マジックワード」という言葉が一般化してしまうことを、私は危惧している。
確かにポジティブな言葉でコミュニケーションを取ることは非常に良いと思うが、「マジックワードを使えば世界がハッピー!」みたいな論で落ち着いて欲しくないのだ。
概して人生というのは社会の中、家庭の中で人と接し、うまくいくこと、いかないこと人それぞれ悩みながら成長していくものである。悩みに対して安易に「これが回答です」といわんばかりのマジックワードがあふれると、その時点で思考が停止してしまう。
思考しなくなるということは、自身で成長する機会を逸するとともに、次の成長への足がかりも失ってしまうのだ。
健康法にあるような「これをしとけば大丈夫」的な「マジックワード」は疑わしいものでもある。
そう言ったものは逆にコミュニケーション上のスパイスくらいに考え、控え目にした方が良いのではないかと思う。
そう、言葉が今までそうであったように良い言葉も使い過ぎれば悪い意味を持つ場合もあるのだ。
 
過ぎたるは、なお及ばざるが如し。(←これマジックワードじゃないですよね?)
ですね。
 

  

 

 

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